これは貴方様の物語です。どんな物語でも、貴方様のお望みのままに。
そう言ってアラビアンナイトの美女が語りだす。今宵の夢はなんだろうか。
どんな物語でもお望み通り、永久の愛を求める旅路でも、世界を護るヒーローの物語でも。はてまた砂漠に散る夢もいいかもしれない。
僕は手当たり次第にストーリー設定ボタンをつつきながら、ああでもないこうでもないと選択に迷う。
望み通りに決められると言っても、想像通りのお話だとどうしても飽きが来てしまう、やっぱり思ってもいない展開で驚くようなお話が良いな。そういう意味では選ぶより勝手にストーリーを語ってくれた(と言う)本物のアラビアンナイトは良いな。王様は語り手の美女に『なにか新しい話を』って毎晩言ってるだけでよかったんだから…。
そうだ、そんな話がいい。毎日毎晩新しい話を聞かせてくれる、そんなストーリーを頼もう…。
僕は枕元のドリームプレイヤーにそう命令して目を閉じ、夢の世界へ入り込むと、そんな僕を夢に見た僕=王様のそばで、美女が語り掛けてくる。
『これは貴方様の物語です。どんな物語でも、貴方様のお望みのままに…」
#500ss